社会問題と思考の抽象度|俯瞰的 客観的 コーチング
2023/04/02
ある国会議員に
一般市民の方が
電話で陳情をしている様子を
Youtubeで見ました。
その一般市民の方によると
知り合いの子どもが
児童相談所に一時保護されたり
家庭に戻されたりを
繰り返していて
その子どもが
家に帰りたくないと
言っているのを聞いて
児童相談所の職員の
対応に憤りを感じている
とのことでした。
虐待で子どもが死ぬという
痛ましい事件が起きているのは
児童相談所の職員が
親から子どもを守るという
愛情がないからだ。
虐待死を防ぐために
国会議員として
なんとかしてほしい。
という陳情です。
子どもを守るために
なんとかしたいという
強い思いに駆られての
陳情なのですが
そのお話の様子を
聞いていると
親権の問題や
児童相談所の職員の
専門性などについての
知識が非常に乏しいことが
分かります。
たまたま知り合いの子どもが
一時保護されたり
家に帰されたりしている
という1つの事例と
テレビで見た
虐待死のニュースという
情報だけをもとに
児童相談所の対応が悪い。
と決めつけているのです。
電話を受けた国会議員は
その一般市民の方が
現場をさほど知らず
さほど勉強もしていない状態
にもかかわらず
児童相談所が悪いと決めつけ
声高に非難することで
虐待する親たちと
児童福祉と親権という大きな
問題をめぐって
日夜奮闘されている
児童相談所の方の仕事が
やりにくくなってしまう
という可能性について
優しく諭していました。
何か問題が起きたり
子どもが虐待死したり
するたびに
児童相談所の対応が問われ
責任を追及されるたびに
児童相談所の職員の
なり手がどんどん
少なくなってしまい
結果的に
子どもの命を救えなくなる
という状況を
招いてしまうことになるのです。
もちろん
電話をかけた一般市民の方は
もちろん社会を良くしたい
という善意を持って
陳情をしているのですが
あまりにも
抽象度が低すぎると
言わざるを得ません。
やはりその国会議員が
言うように
その問題の背景や
社会全体を見て
どう対応するのがいいのか
広い視点、長いスパンで
考えなければならないと
思うのです。
この問題に限らず
私たちは
この国の政策について
自分の身の回りの
個別の事例に囚われることなく
高い抽象度を持って
考える力を持たなければならない。
と改めて感じるとともに
その国会議員が
そういった陳情の様子を
包み隠しなく
Youtubeで公開していることは
そのことを考える
きっかけを提供している
という点において
素晴らしいと感じました。
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