人は正しさでは動かない|クレーム対応 心理 問題解決
2021/11/06
教員時代に
こんなことがありました。
仕事を終えて
自宅で夕食をとっていると
学校から電話がかかってきました。
「〇〇さんのお父さんが
学校に来てるんだけど・・・」
慌てて学校に戻ると
学校の玄関で
担任している子の
お父さんが怒鳴っています。
興奮状態です。
どうやら
スポ少でのトラブルを
学校に訴えに来たようです。
もちろんそれは
学校外で起きたことなので
学校に訴えに来るのは
お門違いですし
聞いたところ
学校での指導に落ち度が
あったとも思えませんでした。
私はそのお父さんに
なんとかそのことを
理解してもらおうと
いかにあなたの訴えが
的外れなのかを
説明しようとしました。
しかし
どれだけ筋の通った
正しい説明をしても
なかなか
理解してもらえません。
玄関先での立ち話が
長くなりそうなので
とりあえず
校長室でお話ししましょう
ということになりました。
校長室に移動するときに
先輩の先生が私に耳打ちしました。
「大輔、
確かにお前が言いたいことは
正しいけど
それを言っても
いいことにならんぞ。」
私はそのお父さんの
的外れな訴えに
内心腹を立てていたのですが
その言葉を聞いて
それをグッと
抑えることにしました。
校長室では
聞き役に徹し
そのお父さんの訴えを
全て受け入れて
「そうなんですね
それは大変でしたね。」と
ねぎらいの言葉をかけました。
結局そのお父さんは
校長室で2時間
訴え続けました。
そして2時間後
帰り際にこう言ったのです。
「先生、ありがとうございました。
これからも、
〇〇をよろしくお願いします。」
そうして笑顔で帰っていきました。
2時間の間
何をしたわけでもなく
ただ話を聞いていただけ
なのですが
すごい剣幕で
怒鳴り込んできたお父さんが
「ありがとうございました。」
と言って帰っていったのです。
きっと私が
自分の正しさを
主張していたとしたら
きっと次も、その次も
同じような問題で
学校に怒鳴り込んでくるでしょう。
しかしそのお父さんとは
その後、良好な関係を
築くことができ
子どもの成長を一緒に喜び合う
ようになることができました。
私はそこで
2つのことを学びました。
正しさをぶつけ合っても
物事は解決しないどころか
どんどん拗れてしまうということ。
聞くという行為には
不思議な力があること。
もちろん
それを学んだから
すぐにそれが実行できた
というわけでもないですが
今、コーチという
仕事をしていて
あの時の経験が生きているなと
感じることがあります。
人は正しさでは動かない。
しかし
自分の話を聞いてくれる人に
心を動かされる。
話を聞くことは
一見時間がかかるように見えますが
実は問題解決の近道なのです。